公務員試験(特に市役所)の志望動機の具体例をご紹介します。
こう答えれば絶対に合格するというような万能の「正解」などないということをまず知った上で、志望動機をどうやって組み立てればいいのか、もっと突き詰めて考える必要があります。
まずは最も薄っぺらい志望動機から。
1.「市民全体の奉仕者として、民間企業にはできないさまざまな社会貢献ができると思ったからです。利益優先の経済活動では応えられないさまざまな課題解決をし、地域に貢献したいと思いました」「とりあえず公務員」という人も「何としても公務員」という人も、誰もがしゃべりそうな志望動機です。深くツッコまれたくないがゆえの志望動機なのでしょうが、これだけでは二の矢、三の矢の質問が飛んでくるのは必至です。ヘタすると、こう答えた時点で不合格フラグが立ちかねません。
本音ではそう思っていないとしたら最も何も考えていない志望動機ですし、もし本音で真面目にこのように考えるとしたら、これだけではあまりにも考察不足です。
ネットでパクれる志望動機を探そうとしている時点でほとんど終わっているのですが、でもまあ自分の志望動機を答えられない人は、とりあえず無難で優等生的なこの志望動機を述べてみたらよいのではないでしょうか?
このように答える場合、次に必ず繰り出されるであろう、面接官のさらなるツッコミにも耐えられるでしょうか?せめて、下の再質問に対する答えも作っておき、志望動機の薄さを補っておきましょう。
「民間企業にしかできない社会貢献だってあるでしょうに、なぜ公務員なんですか?」
「利益を追求することはいけないことですか?それで社会が動いているのではないですか?」
「社会貢献するというのなら、なぜNPOではいけないのですか?」
「地域に貢献するというなら、なぜ地元の中小企業ではダメなんですか?」
ちなみに「正解」とか、こう答えればツッコまれないというような安パイはありません。「正解」を答えられるかどうかではなく、自分なりに考えた結果を述べられるかどうか、それ自体が重要です。
そもそもツッコまれさえしなかったら、それはそちらの方がマズいです。こちらのしゃべっている内容や、最悪の場合、受験者そのものに興味すら持たれていないということですから・・・。
ツッコまれなくないという「逃げ」の姿勢を示した瞬間、墓穴を掘るわけです。無難な答えを返す→面接官の追撃を受ける→さらに逃げ続けれる・・・こうしていれば、いずれの追撃は止みますが、その時点ですでに面接官は逃げるあなたへの興味を失っており、採用する価値なしと考えられているおそれがあります。
「ツッコまれない志望動機」などという、底の浅い完全に誤ったアプローチで切り抜けようとした瞬間、自滅するということを覚えておきましょう。目標は「ツッコまれないこと」ではなく、あくまで「合格すること」です。ツッコまれずに切り抜け、面接には「成功」したと思ったら、結果は不合格だった…これでは意味がありません。
では次の例はどうでしょうか。
2.「子供の頃から親の転勤で引っ越しをくり返し、しかもニュータウンと呼ばれる地域にしか住んだことがないのでここが故郷だと思えるような場所が自分にはありません。それだからこそ、住んでいる人たちがここが故郷だという意識を持てるようなまちづくりに貢献したいと思いました」これが私の志望動機です。今振り返ると「若いなァ・・・」と思いますが。
受験したどの役所でも少しずつ形を変えてこのようなことを答えました。実際のところ高校生の頃からこのようなことを考えていましたし、大学の学部選びも(大学選びよりも学部選びの方が先)、大学選びも、入学後の履修科目やゼミの選択も、そしてアルバイトも、すべてこの目的にかなうように考えていました。(自分の本音であり、事実です)
この志望動機を核とし、自分が住んでいる自治体を受けたときは、転勤族だったがゆえに一箇所に定着したい、そして自分の新たな地元のために貢献したいということを述べました。(自分の本音です)
一方、自分が住んでいない自治体を受けたときは、その自治体が力を入れている取り組みを先回りして調べ、私が学生の頃に入っていた都市行政の勉強会(学外での活動)で頻繁に取り上げられていたテーマと重なっていたため好感を抱き、自分もそのような自治体で貢献したいということを述べました。(自分の本音であり、事実です)
では公務員志望のきっかけは何だったのか?・・・阪神大震災が起きた後、都市計画を主導する地方自治体の取り組みの重要性について当時さかんに行われていた報道が、地方自治への興味の最初のきっかけでした。震災関連の新聞記事を当時つけていた日記にスクラップして、自分の考察を書きためたりしていました。(自分の本音であり、事実です)
※当時、私は関西地方に住んでいましたが、当時は大地震と言えば、いつか来るであろう「東海大地震」のことばかりクローズアップされており、関西でも現実に大地震が起きるということ自体、ご当地ではかなり衝撃的な出来事でした。
イメージとしては、「ツッコまれない」志望動機ではなく、「ツッコませるための」志望動機です。ツッコんでもらった方がいろいろ話を展開でき、より奥行きのある面接になるからです。
このように自分の「本音」や「事実」が土台となっているため、このセリフを他の人がパクろうと思っても、まったく使いものにならないでしょう。たとえば転勤族だった人が、この志望動機を台詞だけマネすれば受かるのかどうかはまったく別な話です。
本音を言えば「満員電車で長時間通勤するのはイヤだ」「職住近接がいい」という理由もあり、浪人してからは「もうどこでもいいから受かりたい」という切迫した思いも正直ありましたが、もちろん面接ではそのようなことは言うはずもありません。
でも、とりあえずパクってシミュレーションしてみましょうか?
「・・・阪神大震災が衝撃的で、それがきっかけで地方自治に興味を持ちました」(パクった)
「興味を持たれたということですが、興味に基づき何か具体的に活動しましたか?」
「あ、う・・・」(はい、終了~)
→興味などなかったということがあっさりバレます。
というわけで、「阪神大震災」を「東日本大震災」に入れ替えれば使えるじゃん!と思ったみなさん、その手は通用しません。面接を切り抜けるための方便として震災を持ち出しても、その薄っぺらさは簡単に見破られます。
「東日本大震災がきっかけとなり、●●という意識から、自治体で働きたいと思いました」(でっちあげた)
「震災の中で、具体的にどのようなことを見たり聞いたりして、●●という意識につながったのか、もうちょっと詳しく説明してください」
「あ、う・・・」(はい、終了~)
どんなにパクったところで、心にもないことや、でっちあげたことを突き崩す質問をするのは、とてもたやすいのです。パクっただけでは、質問を重ねられているうちに、とりあえず考えておいた答えにも、やがて「行き止まり」がやってきてしまうのです。
では、こんな例はどうでしょう?
3.「学校を卒業してから2年間フリーターだったんですが、公務員はアルバイトよりも給料が多いし休みも取れるし、身分も安定していると思ったから受験しました」私の知人の応答例です。ヘラヘラすることなく、このように平然と言ってのけたというのです。まさに前代未聞。
実際、彼は高校卒業後、何年間かアルバイト生活をしていました。そしてこの面接で、面接官たちを爆笑の渦に引きずりこんだそうです。
しかも、これで無事合格したというから驚きです。こういう例もあるのです。何と答えればいいのか、志望動機に正解などないという好例ではありませんか。
では入庁後、彼が仕事をサボっているのかというとそうではありません。口ではこのように言いながら、自分の仕事そのものには誇りを持っているようです。上司や組織にこびへつらわず、権威に対してもビビることもなく、サムライ的なところがある人です。彼の動じないキャラが、面接でこのような発言をしても許されるようなキャラだったのでしょう。
もちろん、フリーター受験生が彼のセリフだけをマネをしても、それで合格できるわけではありません。
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いくつか志望動機を挙げてみましたが、これでも不安は尽きません。よその試験対策サイトや面接対策本に書かれている応答例をパクってきても、やはり不安で一杯でしょう。なぜなら志望動機についての質問や、その後に繰り出されるであろうツッコミは、表面上のセリフをパクっただけで切り抜けることはできないからです。
何か「正解」があって、その「正解」を答えれば受かるはずだという考え自体、合格への遠回りとなる考え方です。
2つ目の私のセリフにせよ、3の彼のセリフにせよ、いちおう合格者の志望動機ではありますが、これらは自分のホンネが土台になっています。セリフだけマネをしようと思っても、志望動機の土台となるホンネがないのだから、完全に取りつくろうことはできません。
セリフだけマネをすることはたやすいですし、ここに書いたセリフをパクりたければどうぞご自由にという感じですが、二の矢、三の矢の質問をされればたちまち崩壊まちがいなし。ホンネの部分で「安定しているから」しかないのであれば、ホンネの部分で自分なりの理由がある人に比べて、面接でいい点が取れないのは仕方ありません。
「公務員は安定しているから」…たとえばこれが受験の唯一の理由なのだとしたら、本来そのような受験生は、役所でも必要ないわけです。そんな人に払う給料がもったいないです。税金の無駄遣いです。
ネットで「公務員 志望動機」「公務員 面接 志望動機 例」などというキーワードを打ち込めば、それだけで合格できる志望動機が手に入るというような、そうそう都合のいい話はないのです。たとえはこんなのはどうでしょう?
「このセリフを言えば必ずモテる!好きなあのヒトを絶対口説ける!完全デート必勝マニュアル」(大したことは書かれていません。反射的にクリックしないでください)
そんな雑誌の特集やネットの記事があったとしたら、「お?」と思わず飛びつきたくなりますし、ついつい立ち読みしたり、クリックしたくなりますが、冷静に考えてみればこれが実にアホらしい話なのは、皆さんもよくお分かりのとおりです。そんな記事を夢中で読んでいる人の後ろ姿は見ていてイタいですよね。
「公務員 志望動機」で検索するというのもこれと同じことです。
このサイトへのアクセス解析によると、「公務員 志望動機」のキーワード検索でやって来る人が圧倒的に多いのですが、公務員試験において受験者の大半が不合格になるのは、まさにその通り。この検索をやった途端にいきなり不合格フラグが立ってしまいます。
公務員試験を受けている理由を自分で分かっていない人や、もっとハッキリ言うと、公務員の安定した待遇とやらが目当てで受験するような人が、公務員になるのにふさわしいでしょうか?そんな連中は、役所にとっても同僚にとっても、そして誰よりも住民にとって、いい迷惑です。
※公務員の待遇については、
こちらの章をご覧下さい。具体的な給料の額や有休取得日数、私の周りの実例などを挙げつつ、かなり詳しく紹介しています。
自分のホンネを隠さなければならない人は、自分のホンネで堂々と答えられる人に比べれば分が悪い、というのがここでのとりあえずのファイナルアンサーです。
しかし、これで考察が終わるわけではありません!
今、面接で答えるに値する志望動機が自分でもよく分からないという人でも、まだ手の打ちようはあるのです。
答えるに値する志望動機がないという人は、徹底的に、徹底的に!偽装、いや準備をしましょう。一から勉強をし、自分の手を動かし足で稼いで頭を働かせ、必要な情報を収集した上で、自分が完全に「変身」することによって、元々は自分の本音とかけ離れたことであろうと言ってのけたりやってのけたりする能力も、(いい悪いは別として)公務員としてはある意味欠かせない能力なのです。
一方、自分の志望動機にウソはない!ホンネで市民のために働きたいと思っている!という方でも、突き詰め方が甘いと、本当に突き詰めているかどうか、はなはだアヤしくなってしまいます。
ここで、志望動機を組み立てる際とても役に立つ、現職人事担当者が書いた面接対策本を紹介しておきます。
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【公務員試験の面接の「地雷」がどこなのかがすぐ分かる面接対策本】
受験者の志望動機の応答例と、それに対する講評が豊富に収録されています。特に、この志望動機ではなぜダメなのかを、人事担当の視点で解説しているのが画期的です。
この本に書かれている志望動機をそのままパクれるわけではありません。パクれることは何も書いてありませんが、この志望動機ではどこがまずいのか、どうアレンジし、どう膨らませばいいのか、そのための考え方を読み取るべきです。この本に書かれているのは、「受かる志望動機」ではなく、「どのように志望動機を組み立てればいいのか」という方法論です。国家公務員を念頭に書かれた本ではありますが、地方公務員や警察官、消防士にも十分当てはまる、公務員試験全般に役立つ本質的な解説が満載です。
「正解」や「優等生」の志望動機を答えればそれでいいというものではありません。そのような応答例は陳腐すぎて、面接官にとっては「またかよ・・・」とウンザリさせられるものだそうです。志望動機では、自分自身の切り口で、説得力をもって語れるかどうかがポイントだということがわかります。(志望動機が「本心であるかどうか」がポイントではない点に注意)
他の誰でもない人事担当が書いているのだから、先にこれを読まない手はありません!
延々ネットで検索をくり返している時間があったら、さっさと1冊入手して、きちんと読み込んでおきましょう。----------------
※Amazonの書評では「受験生を見下している」だの「頭にきます」だの書かれていますが、この本を読んで見下されていると感じたり、頭に来ているようでは先が思いやられます。入庁後は、この本よりもはるかに「頭にくる」ことがたくさんありますし、しかもこの本よりも「偉そう」な上司や先輩、議員、そして市民・国民の相手をするのが入庁後の皆さんだというのに…。こちらが公務員というだけで市民・国民から「見下される」ことなんてしょっちゅうです。この本を読んでイラついた時点で、不合格フラグが立つことに注意!
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一方、以下の2冊は、現職公務員からの投稿を元にした、役所でよくある光景や問題を、読みやすいストーリー仕立てにしたものです。
人事担当による本が公務員としての「あるべき正論」を示すものだとしたら、以下の2冊は、一般職員の「本音」がにじみ出ている読み物です。
入庁後、実際にみなさんが出くわす光景としては、以下の2冊の方が、実態を正確に表しています。また、人事担当としても、実際の現場に転がっている(がしかし面接の場ではとても明かせないような)役所が抱える問題を解決してくれる人を探すために、面接を行っているわけです。
人事担当の正論と、決して理想論だけでは割り切れない現場のリアルな実態。面接対策を練るにあたって、どちらも知っておくべきです。